わたしたちが考える矯正治療

きらめきデンタルクリニックは、愛知県(東海市)にて小児歯科矯正歯科の専門クリニックとして2004年開業以来、
年間平均300症例、19年で約5700症例の矯正治療に携わってきました。
     
そして、その9割以上が「子どもの矯正」です。

多くの経験を通して導き出された最適な「子どもの矯正」を教えます。

矯正治療の目的ってなんだろう?

歯科矯正学の教科書の第2章:(歯科矯正学の定義)では以下のように述べられています。

『歯科矯正学は、顎顔面の成長発育を基盤とした形態的、機能的正常咬合の確立をめざすものである。したがって、最終的な矯正治療の目的は、乳歯列から混合歯列期を経たのちの永久歯列における正常咬合の獲得といえる。その目的達成のためには、初診時に患者の有する不正咬合の状態を正確に把握し、その時点で最良と思われる解決方法が将来の永久歯咬合の育成にどのようなかかわり合いをもつかを検討したうえで、治療目標を設定し、治療計画を立てる必要がある.』

教科書でも上記のように述べられているとおり、矯正治療の目的は『乳歯列から混合歯列期を経たのちの永久歯列における正常咬合の獲得』です。つまり、すべての永久歯が萌出する12~15歳ごろまでにどうやって正常咬合を獲得するかというのが真の目的です。

いつから矯正治療を始めるべきか?

矯正治療の目的は『乳歯列から混合歯列期を経たのちの永久歯列における正常咬合の獲得』となってはいますが、実際には
 1)乳歯列ではじめるのか? 
 2)混合歯列ではじめるのか? 
 3)永久歯列からはじめればいいのか?

上記1)~3)のどのタイミングで矯正治療をはじめるべきかについては様々な臨床結果および研究結果があり、それぞれのクリニックによって、あるいは矯正歯科医師によって考えが異なる場合も少なくありませんので矯正慎重に検討が必要です。

(1)矯正治療の種類

教科書では矯正治療を5つの種類に分類しています。
1)予防矯正
2)抑制矯正   
3)限局矯正
4)本格矯正
5)成人矯正

とくに1)~3)を総称して教科書では『早期矯正』と呼んでいます。

早期矯正のうち1)予防矯正や2)抑制矯正については乳歯列で行われることが多く、きらめきデンタルクリニックの小児歯科でも積極的に取り組んでおります。また、3)限局矯正については次項で詳しく解説致します。

(2)限局矯正とは

この聞きなれない言葉「限局矯正」とはいったいどのようなものなのでしょうか?

不正咬合の原因を放置しておくと,混合歯列期から永久歯咬合完成期に至る過程の中で,経時的に形態的、機能的不正は増悪することが多い。このような場合,すでに生じている不正咬合の原因の除去のみでは自然な正常咬合の獲得がなされないばかりでなく,永久歯咬合完成後に矯正治療を施しても正常哎合の確立が非常に困難と予測されたり,ときとして矯正治療自体が不可能となることがある。限局矯正とは、このような混合歯列期において矯正力を顎顔面や歯へ直接作用させ,積極的に形態的、機能的改善をはかり,成長発育の過程の中で後継永久歯の咬合育成に寄与しようとするものである

教科書でも上記のように述べられているとおり、限局矯正とは『混合歯列期において矯正力を顎顔面や歯へ直接作用させ、積極的に形態的、機能的改善をはかり、成長発育の過程の中で後続永久歯の咬合育成に寄与しようとするもの』とあることを踏まえ、きらめきデンタルクリニックでは上顎の前歯が永久歯に生え変わる6~8歳の混合歯列期が限局矯正(早期矯正)を開始するベストタイミングと考えています。

早期矯正だけで治療は終わるのか?

1)予防矯正、2)抑制矯正、3)限局矯正などの『早期矯正』だけで治療はおわるのでしょうか?

(1)限局矯正はあくまでも準備

教科書では限局矯正について以下のように記載されています。

『限局矯正では,治療時期が永久歯列形成前の混合歯列期であるため,まず当面問題となる顎顔面あるいは歯列の不正に対しての矯正治療を開始し,顎口腔環境を整え、その後の正常な成長発育や咬合育成を期待するもので,動的限局矯正治療終了後,新たに生じると予想される問題に対しては,永久歯列完成まで注意深い観察(watchful neglect) を行い,必要に応じて本格矯正を行うことになる』

先に述べたように矯正治療の目的は『永久歯列における正常咬合の獲得』ですから、限局矯正のみで治療が終わり理想的な『永久歯列における正常咬合の獲得』は困難です。このため、教科書でも『本格矯正』の必要性が述べられています。

(2)本格矯正とは

永久歯咬合の不正に対する広範囲矯正治療を意味し,ほとんどの永久歯をできるだけ理想に近い状態にかつ上下顎歯槽骨頂上に排列し,正常咬合を獲得しようとするものである。この広範囲矯正治療は,一般にマルチブラケットを用いる固定式の装置が使用され、後継永久歯の萌出が完了して間もない青春期にある若年者を対象とした治療と成人を対象とした治療とに分かれる。しかし,一般的には前者のように若干の潜在成長能(growth potential)を残している時期に行う治療を本格矯正としてとらえ,後者の成人を対象にした治療は成人橋正と呼んでいる。

このように乳歯列での予防矯正や抑制矯正、混合歯列での限局矯正などの早期矯正を経たのち、若干の潜在成長能を残している時期に本格矯正をおこなうことでようやく『永久歯列での正常咬合の獲得』ができるということになります。

早期矯正で使用していた従来型の装置

早期矯正+本格矯正⇒永久歯列の正常咬合の獲得

この方程式は十分にご理解いただけたのではないでしょうか?
ここからは、過去にきらめきデンタルクリニックの矯正歯科において実際にどのような矯正装置を用いて早期矯正を行ってきたかについて解説いたします。

(1)歯並び・かみ合わせの不正を予防する治療

何千人もの子どもの矯正歯科診療に従事するなかで、ある疑問が浮かびました。
「一度治したはずの歯並びやかみ合わせが、なぜ再び崩れてしまうのか?」

一度、矯正治療を行い治したはずの歯並びやかみ合わせが、そのまま維持できているケースもあれば、再び崩れてしまうことも少なくありません。

再び崩れるということは「根本的な原因が解消されていない」から

根本的な原因にアプローチするために、口腔周囲の筋肉、口腔の機能の不正に着目し、小児歯科や矯正歯科の診療の中で筋機能療法筋機能矯正装置(マイオブレースシステム、プレオルソシステム)を用い、不正の根本的原因と考えられる口腔周囲の筋肉のバランス異常を改善する原因療法に積極的に取り組んでいます。

筋機能のバランスを整える筋機能矯正装置「マイオブレース」。マイオ-ブレースという名称の通り、口腔周囲の筋機能がブラケット矯正と同等レベルの効果をもつという考えのもと開発された装置であり、固定式の矯正治療の前後に口腔周囲の筋肉のバランス異常を改善し、矯正治療後の後戻りを少なくするために使用します。 あくまでも筋肉のバランスを整える早期矯正の装置であり、この装置だけで永久歯列の正常咬合を完成できるというものではありません。発売元:株式会社オーティカ
筋機能のバランスを整える筋機能矯正装置「プレオルソ」。プレ-オルソという名称の通り、矯正治療を行う前に口腔周囲の筋肉のバランス異常を改善し、矯正治療後の後戻りを少なくするために使用します。 あくまでも筋肉のバランスを整える早期矯正の装置であり、この装置だけで永久歯列の正常咬合を完成できるというものではありません。 発売元:株式会社フォレストワン

(2)アゴの広がりを促す

前歯の歯並びの崩れはアゴの広がりが足りないことによって起こります。
前歯4本のスペースが不足している場合、早期矯正として拡大装置を使用します。

クアドヘリックと呼ばれる拡大装置です。月に1~2回ほど歯科に通院し、徐々に歯列弓を拡大していくため緩徐拡大装置の分類に入ります。 あくまでも歯列弓の拡大を行うための早期矯正の装置であり、この装置だけで永久歯列の正常咬合を完成できるというものではありません。

(3)上顎の成長を促す

頭部X線規格側方写真での診断において上顎の劣成長と診断された場合には、早期矯正として上顎骨前方牽引装置を使用します。

上顎骨前方牽引装置と呼ばれ、顎外矯正装置に分類されます。文字通り上顎を前方に牽引し、上顎骨の前方成長を促します。 効果には個人差があり、必ずしも上顎の前方成長が起こるとは限らず、使用には慎重な判断が必要です。

(4)下顎の成長を抑える

頭部X線規格側方写真での診断において下顎の過成長と診断された場合には、早期矯正としてチンキャップ装置を使用します。

オトガイ帽装置と呼ばれ、顎外矯正装置に分類されます。下顎のを前方成長を抑制する装置です。 効果には個人差があり、必ずしも下顎の成長抑制が起こるとは限らず、使用には慎重な判断が必要です。

(5)下顎の成長を促す

頭部X線規格側方写真での診断において下顎の劣成長と診断された場合には、早期矯正として機能的顎矯正装置を使用します。

バイオネータと呼ばれ、機能的顎矯正装置に分類されます。下顎の前方成長を促す装置です。 効果には個人差があり、必ずしも下顎の成長抑制が起こるとは限らず、使用には慎重な判断が必要です。

(6)早期矯正を行う場合の注意

早期矯正は教科書でも述べられているように、矯正治療の目的である『永久歯列の正常咬合の獲得』には欠かせない治療です。
しかし、治療を行う際には必ず以下の点に注意しましょう。

早期矯正はあくまでも本格矯正の準備です

早期矯正、とくに限局矯正とは、混合歯列期において矯正力を顎顔面や歯へ直接作用させ,積極的に形態的、機能的改善をはかり,成長発育の過程の中で後継永久歯の咬合育成に寄与しようとするものでありますが、動的限局矯正治療終了後,新たに生じると予想される問題に対しては,永久歯列完成まで注意深い観察(watchful neglect) を行い,本格矯正を行う必要があることを考慮したうえで行う必要があります。

精密検査が必須です

どのような種類の矯正を行うかにかかわらず、治療に際して必ず以下の検査を行う必要があります。

矯正形態的検査
1)全身的検査
2)顔面写真
3)口腔内写真
4)口腔模型
5)予測模型(セットアップモデル)
6)エックス線検査

機能的検査
1)顎運動の検査
2)筋機能の検査
3)発音の検査
4)頭部X線規格写真による機能分析法
5)ファンクショナルワックスバイト法による機能分析法

(7)治療費用はどのくらいかかるのか?

インターネットで「子どもの矯正費用」と検索すると膨大な情報量であり、はじめて矯正を考える保護者にとってはかなり混乱する内容のものもあります。

とくに早期矯正では子どもの成長発育に関わる重要な治療です。精密検査を行ったうえで不正の機序や重症度を精査し、適切な治療計画を立てる必要があります。

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Credit

監修者

医療法⼈きらめき 理事⻑
アラインクチュールデンタルオフィス名古屋栄院 院⻑
インビザライン社ファルカルティ* ※公式認定講師
インビザラインダイアンモンドプロバイダ ※7年連続
インビザラインファースト部門世界シェア第1位 ※2019年

所属学会:日本矯正歯科学会/日本成人矯正歯科学会/日本小児歯科学会

⽵内 敬輔 Keisuke Takeuchi

愛知学院大学歯学部卒業後、北海道の矯正歯科にて研修を積み、2004年に愛知県にて子供向けの矯正歯科/小児歯科を開業。2014年にインビザライン・システムのライセンスを取得し、2015年に名古屋市では初となるマウスピース専門の矯正歯科であるアラインクチュールデンタルオフィスをオープン。また、2019年には銀座院もオープンした。20年の歯列矯正治療の経験を持ち、インビザライン・システム1,900症例を含む4,900症例(2022年5月現在)を手がけており、2019年には子供向けのインビザライン・ファースト部門で16万人を超えるドクターの中で世界シェア第1位を獲得している。その経験の豊富さから日本だけでなく海外の歯科医師たちに対し歯列矯正治療及びインビザライン・システムの教育や講演を多数行なっており、2021年よりインビザライン社のファカルティを務めている。 *インビザライン社カファルティとは インビザライン矯正に携わる歯科医師に対し、歯列矯正治療およびインビザライン・システムについての教育・指導を⾏うポジション (2022年3⽉現在国内22名)

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